
ほぼありえないニホンイシガメとの出会い
夕方に住宅地の側溝のアナカリスの上にいたニホンイシガメの幼体のお話です。
2019年7月17日に近所の住宅地の水かさの増した側溝で水面から露出したアナカリスに乗ってじっとしているカメがいました。私は夕方のウォーキングに行く途中でした。そのままウォーキングを続けました。そして30分ぐらいして帰りにまたその場所を通ると、そこにまだいました。ここは通常ならカメがいるような場所ではありません。コンクリートの用水路を陸地が見つからないままずっと泳ぎ続けて、上流域の住宅地の側溝まで迷い込んで、泳ぎ疲れたイシガメがそこに茂っていたアナカリスに載って水面で休んでいたのではないでしょうか。私が気づいてからだけでも同じ場所に30分以上はじっとしていました。
私は一旦帰宅して網を持ってまたそこに行きました。そして掬って連れて帰りました。帰宅して調べてみるとニホンイシガメの幼体だとわかりました。この辺りの用水路は住宅地にあって、陸地がなくコンクリートの壁だけだし、もうすぐ水がなくなってとても汚いドブになります。だから連れて帰って正解だと思いました。スッポンはいることはいるのですが、スッポンにとっても過酷な環境です。スッポンには一時的に棲めてもニホンイシガメは無理でしょう。一時的にという意味は、産卵時に一時的に遡上してきて下っていきます。そして稲作シーズンが終わって堰き止められていた用水路は解放され、水位が一気に下がって秋から春にかけては水のほとんどないドブと化します。魚も死に絶えて全くいなくなります。そこはもう次の年の稲作シーズンまで親スッポンも遡上してくることはできないし、稲作シーズンが終わって水がなくなってから孵化して出てくる赤ちゃんスッポンもいて、途方に暮れています。私はそういった赤ちゃんスッポンも保護して育てていますが、ニホンイシガメの幼体は初めてでした。そしてきっと最初で最後でしょう。そのくらいこの場所では考えられない出会いでした。
それから今日まで一緒に暮らしています。名前は「カメちゃん」です。名前を付けないまま何気なく「カメちゃん」と呼んでいたらそれが定着したからです。
| 2020年7月17日 | |
| 夕方 | |
| 近所の住宅地の増水した側溝の水面に露出したアナカリスの上。 | |
| 6cm | |
| 8.2cm(2021年3月17日現在) (2021年3月17日現在でちょうど8ヶ月)11cm(2022年6月27日現在) 11cm(2022年6月27日現在でちょうど飼育710日) 13cm(2024年12月27日現在でちょうど飼育1624日) ♂なのでもうそんなに大きくはならないでしょう。 |
|
| 42cm幅のガラス水槽(メダカ飼育用) | |
| 小さい頃は1日2回(午後と夜) 大きくなってからは夜1回だけ。 |
|
| 偏食なので何を食べるか探すのが大変で、いろいろ試して鮭の血合いか白えびのどちらかに落ち着く。鮭の血合いでない身のとことや豚レバーを食べることもある。市販の加工餌は食べたことがない。まだ小さい頃、乾燥川エビ、乾燥イトミミズを少々食べたことはあった。 | |
| 市販の加工餌 | |
| 多頭飼いしたことがないのでデータなし。 | |
| なし。2024年10月頃から甲羅に少し白い部分があるのが気になっている。 | |
| 椎甲板が6枚(上から3枚目と4枚目の間に小さいのがもう1枚) | |
| オレンジ色の部分がなく全体が黒い。 | |
| 背甲の黄色みが保護時より増して来た。 | |
| 椎甲板が5枚が普通なのに上から3枚目と4枚目の間に小さいのがもう1枚ある。 | |
| おとなしい。意思表示ははっきりしている。食べたくない餌は手で払い除けることもあったので、忖度はしない性格(スッポンは多少は忖度しているように見える)。 | |
| ある程度成長したら水のきれいな人気(ひとけ)のない川にリリースする予定だったけれども、保護した地域にはコンクリートの用水路ばかりで適当な環境がないし、かなり慣れてくれたのでこのまま飼い続ける。 元の場所は家庭排水の流れてくるドブでコンクリートの壁しかなく、6月から9月末までしか水位が上がらない(その期間しか魚がいない)ので、そこでは生きられないのでもう戻さない。 |
|
結果と考察
なぜこんな住宅地の側溝まで上がってきてしまったのか、そもそもなぜこんなところにニホンイシガメがいるのか、どこから来たのか、不思議です。この辺りはもう生き物が遡上できる上流はありません。そして汚い生活排水しか流れてきません。つまり、保護した場所を含め、この辺りははとてもニホンイシガメがいるような環境ではないです。このニホンイシガメの幼体はどのみちここでは生きられないと思うので保護しましたが、このまま飼い続けます。戻すなら通常なら保護した場所に戻さなければなりません。つまり、同じ種であってもそれぞれの地域で遺伝子が異なる遺伝的特徴を持っているので、他地域の種との交雑が起こってしまい、地域固有の遺伝的特徴が失われます。なので、よその地域に持って行ってリリースしてはいけないことになります。このニホンイシガメは前述のように保護した場所がありえない場所なので、リリースするならもっと下流しかありませんが、そこは陸地のないコンクリート壁の三面張り用水路で生活排水や工場排水で水も汚いです。よって、このニホンイシガメは私と一緒に生きていきます。

